宮脇 昭横浜大学名誉教授・インタビュー

基調講演者とパネリストとして来青されましたが、植生研究家 に
相応しい現場主義で、横内水源ブナ植栽地を視察されました。



■(青森は)、色々云われているよそのブナ林よりも遙かに本物の本来の ブナが、萱野(高原)から大体1000m前後まで(分布しています)。
更に私たちが調べた結果では、人間の長い間の伐採や農業や林道などによってほとん ど変えられていますけれども、下北半島その他を見ましても、海抜せいぜい100mから上はブナ林だったわけです。
しかし、それは人間の影響によって変えられ、まず最初に出てくる のはミズナラで、それから更に尾根筋であれば○○、谷筋であれ ばサワグルミだし、そうゆう状態でほんの僅かの自然の地形によっ て多様な自然が○○、しかしその中心はブナ林である。
従って水源涵養林としてブナ林を再生されるという試みは基本的には私は賛成 です。
ただブナ林と云いましても非常にいいところではブナの純林になり ますけれども、一寸条件が厳しくなりますと、 ブナと一緒に共生するミ ズナラ、コナラやアカシデが混じってきます。
幸いこの水源涵養地は、八甲田北斜面という素晴らしい地帯にあるのですか ら、ここで市民が主役となって共に額に汗し手に土してこの青 森から世界に向けて、本物の水源涵養林・防災斜面保全林、そして市民の魂 の森、命の森を創っていただきたい。
市民が主役として、そして議論は出来るだけ前向きにして頂きたい。大いに議論しながらも皆さん が得た結論であり人任せではなしに、市長も知事もそして市民もみな額 に汗して手に土して、足下から命の森を創って、それを是非青森から 世界に向けて発信していただきたい。

● 質問
 一部では自生している植生を伐採してまでもブナを植栽す る必要があるのかと言う声も聞かれるのですが、その点について先生 はどの様にかんがえておられますか?
○ 答え
まあいま一般的によくブナ、ブナ大事と云われますけれど、そ の点についてはわたしも疑問を持っております。
しかし現地をこうしてみますと、ここは本来はブナ林であります から、できれば○○いかない程度で、今あるものを 残しながらその間に、或いは少し荒れているところでは土地本来の森 の主役であるブナとブナを支える色々な樹種を、根の充満した大きく なる能力をもった木を、市民が主役で植えて頂くことがベターからよ りベストだとおもいます。

● 質問
先生が感じられる理想の水源涵養林とはどういう姿でしょうか。
○ 答え
土地本来のふるさと本来の森が、ブナ林領域であれば高木には ブナが中心で、それを支えるミズナラもそしてアカシデも或いはオオ イタヤメイゲツもその他イタヤカエデもホホノキも、いろんな種類の 木がお互いに競い合いながらも、その木の特性において高木、亜高木、 低木、下草そしてこのような豊かな腐葉土がセットになったものが、一 番水を貯めそして浄化し、ゆっくりと水源池に流すという命の森づくりに、 最も素晴らしい本物の水源涵養林としての機能を果たしてゆくものと 確信しております。

● 質問
水源涵養林造成途上なのですが、青森市へのアドバイスは
○ 答え
いままでどちらかと言えば、一生懸命やっておられるのですが、画一 的過ぎますから、できるだけその土地の能力に応じ、そしてできれば ブナ林はブナが中心ですがブナを支えているいろんな木もあります から、出来るだけそう言う樹種をまじえながら、しかも根の充満した幼 苗・小さな苗を自然の掟で混植・密植する混ぜる混ぜるそして 植えたときから自然の森に近いような競争しながら、競り合い効果で競い、 三年経って自然の管理に任せる。
そして個体は100年200年で枯れる のはあるかも知れませんが、後継樹が一杯育っていて千年それ以上生き 残る本物の水源涵養、命の森を是非創って頂きたい。
私個人とすれば、限られた人生を今までやってきましたが、この落葉広 葉樹林帯としてのブナ、ミズナラ帯というのは、世界地図を横に見ますと 世界の文明の中心地はすべて青森・北海道と同じ様なブナ帯ナラ帯なの です。
ロンドン、パリ、ニューヨーク、ワシントン、フィラデルフィア、モスコー ベルリンすべてこの落葉広葉樹帯なのです。
日本では落葉広葉樹林帯の東京や横浜や名古屋が賑やかな様にみえますが、 地球的規模で見れば、21世紀はこの落葉広葉樹林帯のブナ林帯ミズナラ 帯文化でありますから、どうか県民の皆さんも自信をもってそれこそ新しい時 代の人類生存の基盤であり、経済あるいは遺伝子を守る素晴らしいみどり の揺りかご造りに頑張って頂きと思います。

● 質問
例えばここであったらですね、木を刈っていたりしてですとか(植栽)密度と 云う話もあってよりよく育てるためにはどうすればいいですか?
○ 答え
もう少し粗い山拵えでもよい。皆殺しをしない。まあ結構残してあり ますけれどね。まだもう少し残されてもよかったのではないか。
ただ残念ながら同じ生き物ですがチシマザサだけはやはりある程度排除しな ければいけない。
そしてその間に今あるものを残しながら、その間により本命 の樹種ブナなどを植えて頂いて、そして自然の掟で競り合い効果で競争しながら 間違いなく本物の森・命の森・水源涵養林・防災環境林、そして遺伝子保存林と 地球温暖化にいくらかでも寄与する、そういう森を創って頂きたいと願っています。