佐々木市長答弁書     青森市議会  6月10日

丸屋議員質問「横内水源地のブナ植林事業の意義を市民に広報すべき」

横内浄水場の水源は、八甲田連峰の前岳に源を発し、ブナ、ミズナラ、カエ デ等の樹木が繁茂する自然豊か環境の中で、湧水や沢水により形成された横 内川から取水しております。  その素晴らしい森も、昭和30年、青森巾に編入合併前の横内村が民間に売却 したり、また、樹木が生えている山の利用権を村民に分け与えたことから、薪や 木炭の生産のため,ブナ、ミズナラ、コナラ等の樹木の伐採が広範囲に及ん で繰り返されたり、林道建設により山の荒廃が進み、春先の雪解け時や大雨後 には沢や川に濁水が流れ込み、横内浄水場が飲料水として取水している原水に とどまらず、180ヘクタールに及ぶ下流の水田用水にまで多大な影響を与えてお りました。 横内浄水場でつくられる日量5万立方メートルの「日本一おいしい水」は、 いまや全国的にも少なくなりつつある、自然の自浄作用による緩速ろ過方式で の水処理を採用しており、濁度が上がれば取水を停止しなければならない特徴 がありますので、横内浄水場での水運用と灌漑用水確保のため、水源を自前で 保護・保全するしかないと判断し、民有地の買収計画を立て、森の荒廃を防ぐ こととしたものであります。  その後、集水区域内の山林の買収を進め、開発行為を規制するとともに、水 源汚濁や水害を防止する最も効果的な手段として、計画的なブナの植林を行い、 水源涵養保安林として機能する「緑のダム」の造成を、平成4年度から「水と 森を守る運動」として進めて参りました。  植林事業を知ったポランティアから運動の輪が広がり、平成15年までに、約 6,100人の市民に現場での植林に参加していただき、また、寄付金も、5,800万 円に達し、約37へタタールに14万本のブナの植林をすることができました。  しかし、最近これまでの手法が果たして正しいのかどうかという議論が沸き 起こりましたことから、植林事業のあり方を今一度検証・整理するとともに、 適切な手法について有識者及び市民の皆様に議論していただき、今後の植林事 業を有効に進めるため、去る5月18日に「水源涵養保安林を考えるシンポジウ ム」を開催したものであります。  シンポジウムは、森づくり第一人者で国内ではもとより世界各地で活躍され ております、横浜国立大学名誉教授、財団法人国際生態学センター研究所長 の宮脇先生をお招きし、330名を超える多くの市民の皆様にも参加していただ きながら、活発な意見交換が行われました。また、シンポジウムに先立ち、パ ネリストの方々と市民団体を交え、植林地の視察も行いました。  その結果、宮脇先生からは、この土地本来の森の主役、潜在自然植生はブナ であり、本物の森づくりをするためにブナの植林は間違いではないこと、ブナ を基本としながらも、できるだけ自然木と混植を第一義とし、立地条件によ って他の樹種を植えるなど、現場主義の対応をすべきこと、過度の地拵えや下 草刈り等の管理は行わないこと、などの現地指導をいただきました。  植林場所の設定、地拵え等の植林環境整備、植林樹種の選定及び苗木の確保 など、様々な課題はありますものの、本物の水源涵養保安林をつくり、「日本一 おいしい水」を守るという目的は、植林事業に対する疑問を提起した市民団体 の方々を含め、市民と行政とが一致しているものであり、そのための植境事業 はこれからも継続していくべきであると確信しております。  豊かな自然をより良い形で次の世代に引き継ぐことは、今を生きる私たちの 使命であり、いつまでも、誰もがおいしい水を安定的に供給してほしいという 多くの市民の皆様の願いに応えるため、今後も植林事業を継続して参りますが、 水を守るということは、宮脇先生の言葉を借りれば、その土地に生まれ育ち働 いている人の、命や文化、遺伝子を守ることであります。私たちが今取り組ん でいるのは、まさにそのための、「ふるさとの森づくり」であると考えておりま す。  そして、自分たちのまちの自分たちの水を、未来の子どもたちに残していく ための取り組みは、市民の皆様が主役でなければなりません。それはまさに、 市民が自らのまちに誇りと愛着を持ち、存在意義を確立するための取組みでも ありますので、植林事業の継続とその目的・意義を、あらためて市民に広報し、 その浸透を図り、市民と行政が一丸となって、知恵と力を結集して、市民の魂 の宿る命の森づくりを通じ、「日本一おいしい水」を守って参りたいと考えてお ります。



▲ 終 了